ダーク・デイズ

マーク・シンガー、米国、2001年
英語
100分
日本語
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マーク・シンガー、米国、2001年

ニューヨークはマンハッタン。列車が通る地下トンネルには、地上で行き場を失った者たちが暮らす魔窟がある。この暗闇の中で、辛い過去に葛藤しながらも、人々は光を探している。ある日突然、鉄道会社による強制退去が始まった——。この作品は、トンネルに住むホームレス自らによって制作された。

英語
100分
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ニューヨークのトンネル住人と地下に潜る

1990年代、ニューヨークのあるモデルは、煌びやかな生活に背を向け、トンネルに住むホームレスたちと行動を共にした。それはのちに、彼らの人生を素晴らしい映画へと昇華させることとなった。マーク・シンガーがその物語を語る。

「20歳のころはハンサムな若者だった」とマーク・シンガーはイタズラっぽく笑う。現在もハンサムな風貌を残す彼は今、ソーホーのバーに座って、ニューヨークでモデルとして働き優雅な生活を送っていた1990年代初頭に思いを馳せている。ロンドンで育った彼は、GCSEを修了することなく学校を辞め、マイアミに移り住んだ。ガールフレンドの勧めでモデル業を始めるとすぐに、ニューヨークへと移った。「大都会でパーティに明け暮れる若者だった。煌びやかな雰囲気が好きで、お金もたくさん稼いだ」

唯一の問題は、モデル業だった。「大嫌いだった。とても表面的で。 自分の写真集を持って歩き回った。何百ものキャスティングに時間を費やし、結局、重要なのは自分がどう見えるかだけ。いい生き方とは言えないよ」

シンガーはマンハッタンのアルファベット・シティ地区のロフトに住居を構えた。「プロジェクト住宅にはたくさんの移民が住んでいて、ドラッグが溢れていた。かなり危険なエリアもあった。Aアベニューでタクシーに乗るのは不可能だった。私が住み始めたのは、トンプキンス・スクエア・パークで暴動が起きてすぐ後のこと。警察が軍隊のように押し寄せてテント生活者を一掃してからそう時間が経っていない時だった。ドラッグ中毒者やホームレスの連中はみんな、路上や、周辺のスクワット、廃屋に移動していった」

「トンネルという場所には多くの噂がある」とシンガーも同意する。「ニューヨーカーたちは忠告した。『奴らは人喰いだ。ネズミを食べて生活してる。お前も殺されるぞ 』と。でも、私は21歳で、それが私の好みにぴったりだった。トンネルが素晴らしい場所に思えた。ホームレスになりたくてたまならかったんだ」しかしシンガーが地下に降り、ミッドタウンのペン駅と、西側のハーレムを結ぶ地下鉄の廃線エリアに到達した時、そこには無法地帯とは言い難い地下都市が広がっていた。「路上での生活はタフだ。雨が降れば濡れるし、持ち運べるだけの荷物しかない。でもトンネル内では、自分で家を建てることができるんだ」


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その家々は、金属くずやプラスチック、ゴミ捨て場から拾ってきた家具などを使って建てられた粗末なものだった。住人の多くは男性で、暴力を振るう親から逃げてきた者、離婚した者、コカイン中毒者など様々。悲しみと苦悩が彼らを付きまとっていた。 50代の女性ディーは、アパートの火事で2人の子供を亡くし、暗闇に引きこもった。ラルフは、自分が服役中に5歳の娘がレイプされ、体を切断されたという事実に苦しめられていた。ネズミや悪臭といった劣悪な環境にありながら、彼らは新たな自分の存在を見出していった—何十年という年月をかけて。

「私は窓辺に座って彼らを眺めながら、ストリート生活への憧れを募らせていった。彼らと話をしたり、一緒に出かけてみたり、時にはストリートに泊まったりするようになった。その中でニューヨークのトンネルの話をよく耳にした。そこは、他の多くの都市と同様、『モグラ人間』が住む異臭の漂うネクロポリス、地獄として長い間考えられてきた」

シンガーは最初、このトンネルを薄気味悪く感じた。「監視されているような気がした。目が慣れるまで時間がかかる。全く人気のない場所もある。30軒ほどの家が集まっていて、その後、何もない場所が続く。そのあたりはとても暗く、空気が濃く、重くなる。尾行されているような感覚になる」彼は最初、住人に疑いの目で見られていた。「僕を警官だと思った人もいた。しばらくすると、僕が狂っているんじゃないかと。わざわざこんな底辺まで来る奴がどこにいるんだ!ってね」

若くて落ち着きのないアメリカ人は、冒険や異質な匂いを求めて、しばしば旅に出たり、貨物列車を乗り継いだりしてきた。しかし、シンガーの旅は、水平方向ではなく垂直方向に進み、やがて別世界を見つけるということではなく、ニューヨークの地上と地下のつながりを探るということになった。「黒人、白人、中国人、ラテン系、老人、若者、ドラッグ・ユーザーからシラフまで、みんなここにいる。人が区分けされていないということを除いては、地上の世界と全く同じ。家出したりドラッグをやっていたり、同じような境遇だとつるむようになるのさ」


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日中、トンネルの住人の多くはマンハッタンの街を歩き回り、食料を調達したり、ゲイポルノ雑誌など転売できそうなものを漁ったりする。夜は、トンネルに降りてホットプレートで食事を作り、ペットと遊び、拝借してきた電気で中古のテレビを見る。

その頃、シンガーは自分でもシェルターを作り、追放された人々の家族の一員となっていた。「トンネルに入る前は、ホームレスの人たちをひとくくりにして、みんな麻薬浸りで絶望しているのだと思っていた。でも、友達がたくさんできて、みんなに可能性を感じるようになった。ある日、焚き火を囲んでみんなで話をしていた時、ある男とネズミの話で盛り上がった。みんな大爆笑だった。そのとき誰かがが、『自分たちを題材にした映画が作られるべきだ』と言ったんだ。そこで私も、『その通りだ!映画を作ってそれを売って、そのお金で皆をトンネルから脱出させよう』と」

シンガーがそれまでカメラを持ったこともなかったという事実もさることながら、その結果生まれたドキュメンタリー映画『ダーク・デイズ』は、多くの点で驚異的である。しかし、シンガーは、この暗闇に住む住人たちを撮影する際、同情的な描写や覗き見的撮影を避けた。苦境にありながらも仲間意識と絞首台的ユーモアを持つ、強い心を持った楽観的な個人の集まりとして、住人を描いている。それだけでなく、DJシャドウによるムーディーなアンビエント・サウンドトラックは、作品内のヒップホップのジェスチャーと調和し、洞窟壁画さながらのスプレー缶グラフィティが広がるトンネルの壁と見事なハーモニーを奏でている。

『ダーク・デイズ』という作品は、多くの点で共同作業だったと言える。トンネルに住む人々はクルーとなった。ある者は照明やマイクを持ち、ある者はプロの経験を生かして電気を引き、ドリーショットのための新しいトラックを作った。この映画のパワーの多くは、モノクロで撮影されたことにある。その明暗による美しさが、ウディ・アレンの『マンハッタン』に対するプロレタリア的アンチテーゼとなっている。シンガーはその手法が「偶然だった」ことを認めている。「写真家の友人に映画を撮ると言ったら、『カラーでは撮るな』と言われた。『伝えたいことがはっきりしない。台無しになるぞ。その点、黒白はいい。クールだしな』と」


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シンガーは、出資者候補からの申し出を断っていた。トンネルの友人への忠誠心からだ。「奴らは、18歳〜25歳のセックスとドラッグとロックンロール好きな観客をターゲットにしろと言うんだ」トンネルの住人達は、武装した市の職員に退去を強要された後、公営住宅に住み始めた。しかし、シンガー自身は一文無しで、編集室で寝泊まりすることを余儀なくされた。時には、撮影対象だった人達の部屋の床で寝泊まりすることもあった。「『タクシーや寿司の生活から、ゴミの中をあさるような人間になったのか』と笑われたものだ」

ついに2000年に公開された『ダーク・デイズ』は、サンダンス映画祭で3つの賞を受賞し、広く賞賛された。「不思議な時代だった」とシンガーは振り返る。「全国を旅して賞を集めていた一方で、毎晩、ビュッフェからできるだけ多くの食べ物を確保して、寝る場所を探し回っていた」シンガーは、トンネルの友人と今でも連絡を取り合っているが、その多くは亡くなってしまった。彼は軍の小隊に関する別の映画を撮り始めたが、完成することはなく、すべての映像を破棄してしまった。

たとえ『ダーク・デイズ』がシンガーの唯一の作品になったとしても、この作品は驚異的な成果であり、その執念、連帯、芸術的映像は勝利に値する。この作品が与える驚きと感動が衰えることは決してない。だが、ニューヨークのシェルターや路上で眠る男女の数が、大恐慌時代よりも増えている2014年には、特に核心をつく作品であると感じている。

シンガーが最後にこのトンネルを訪れたのは2011年。「それはとてもシュールな光景だった。アムトラックは空洞化していた。以前は絵や素晴らしいアートがあったのに、灰色に塗りつぶされていた。落書きもなく、ネズミもおらず、人が住んでいた形跡もない。非常に衛生的で、厳重に管理されていた」

シンガーは、このトンネルが人生において過ぎ去ったものだとしながらも、同時にこのトンネルには未来があると確信している。「グラフィティ・ライターを永遠に排除することはできない。ここは次の世代のための白紙のキャンバスなんだ」


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    プレミアム・ドキュメンタリー

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    短編ドキュメンタリー

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    短編ドキュメンタリー

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    短編ドキュメンタリー

    スプリンター・ファクトリー

    世界一のスプリント王国ジャマイカで、次の陸上競技チャンピオンを目指して全力で駆ける少女たちに迫る熱きドキュメンタリー。

    短編ドキュメンタリー

    ミスティコ

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    短編ドキュメンタリー

    その理由

    フロリダの田舎に住む低所得者層が、喫煙によって大切な人を失いながらも、依存症に悩む姿を描いたドキュメンタリー短編映画。クリスティ、エリック、ジェレミーの3人は10代前半からタバコを吸い続け、大切な人を失っているにもかかわらず、収入の25%をタバコに費やし続けている。それぞれやめたい理由があるのだが、やめられない。

    短編ドキュメンタリー

    スノウ・サイエティ

    毛皮のコートやドンペリニヨンのボトルが象徴する雪山の高級リゾート、サンモリッツ。優雅な映像と並んで、大麻樹脂を炙り、ボードを折るほど激しく滑走するスノーボーダーの姿が目に飛び込んでくる。リュディ監督はこの作品について、「サンモリッツをラグジュアリーな面と反社会的な面の両方から捉えることで、二分法で分けられた世界を視覚的に読み解くドキュメンタリー映画だ」と語る。

    短編ドキュメンタリー

    NYC, 1981

    『NYC, 1981』は、ニューヨーク市の治安が史上最悪と言われた時代にフォーカスしたオリジナル短編ドキュメンタリーだ。

    短編ドキュメンタリー

    チェスの魔法(Magic of Chess)

    『チェスの魔法(Magic of Chess)』は、小さなチェス・チャンピオンたちがチェスによって広がる豊かな世界を語る短編ドキュメンタリー。毎年、ナッシュビルでは賞金を懸けたチェス大会が開催される。監督ジェニー・シュバイツァー・ベルは、2019年の小学生部門チェストーナメントを撮影した。映画の中でインタビューを受けるのは、8才のタニ・アデウミ。ナイジェリア難民で、家族とホームレスのシェルターで暮している。ニューヨークのチェス選手権でエリート私立校のライバルたちを打ち負かし、この大会に出場する。

    短編ドキュメンタリー

    カステイー人間の塔ー

    カステイは、カタルーニャの老若男女がお互いの背中や肩によじ登り、構築される人間の塔だ。この慣習は1801年に初めて文化活動として記録され、1980年台に競技へと発展した。2010年にはUNESCOの無形文化遺産に登録され、カステイはカタルーニャの“豊かな文化多様性”や重要性を持つとされた。

    短編ドキュメンタリー

    ラビット・ハント

    フロリダ州エバーグレーズの一部では、20世紀初頭から、若い男性(現在は若い女性)が棒と素早い反射神経だけで砂糖プランテーションの縁辺でウサギを狩る伝統がある。

    短編ドキュメンタリー

    『ガン・ネイション(Gun Nation)』ゼッド・ネルソン

    『ガン・ネイション (Gun Nation)』は、アメリカの自由を表す最大の象徴が、年間約3万人の市民の命を奪う銃であるというパラドックスに迫るドキュメンタリー。 ゼッド・ネルソンの衝撃的な写真集「ガン・ネイション」が発表されてから18年後。アメリカでは銃器によってこれまでに50万人もの市民が命を落とし、負傷者も後を絶たない。ネルソンは当時撮影した人々と再会し、再び彼らの写真を撮りながら、いまだに銃器所持に執着するアメリカの国民性を問う。

    短編ドキュメンタリー

    入浴 ―水との深い関係―

    『入浴 ―水との深い関係― (We the Bathers)』は、世界各地の14人の姿を捉えた美しく心に響く短編ドキュメンタリー。それぞれの人生が“水”をめぐる物語でつながっている。 フィービー・アーンシュタイン監督はこの映画で、入浴という個人的な慣習、そのプライベートな時間に結び付いた心の深淵を探求している。人種差別、うつ病、ホームレス、移民、売春などの社会問題に触れながら、人々が水との関わりによって内省と再生、癒しを得る様子を見つめる。 文化や地域を越えて、人間が水に自身を委ねる行為―入浴―に抱く感情に迫った作品。"

    短編ドキュメンタリー

    ファンガール

    ロサンゼルスを拠点とする映画監督兼フォトグラファーのライザ・マンデロップは、ソーシャルメディアが発達した現代の新しい“推し活”にはまる少女たちに着目した。マンデロップが捉えたのは、人とのつながりをますますテクノロジーに依存していく現代社会の実状だ。不安定な思春期を生きる少女たちは、日々、SNSでフォローしているアイドルに慰めと心のつながりを見出している。

    短編ドキュメンタリー

    ダンベ - エレファントフードは最強の歯のため

    ナイジェリアの伝統格闘技ダンベ、その内側に迫ったドキュメンタリー。ライバル同士の2人の格闘家が闘技場“ダンダリ”での対決に臨む姿を、臨場感あふれるカメラワークとカラング太鼓の音にのせてミュージシャンのユスフ・ムサが奏でる「語りの歌」で綴る。アフリカン・コミュニティの祝祭と闘争、信仰と神秘、美しさと勇猛さに惹きつけられる。

    短編ドキュメンタリー

    タングラス ― 地獄のペット ニワトリ―

    ある日、ムンバイで暮らす家族の小さなアパートに、父さんが一羽のヒヨコを買って来た。

    短編ドキュメンタリー

    ロケット戦争

    「ロケット戦争」のルーツは数世紀に遡る。この地域の聖マルコ教会とパナギア・エリツィアーニ教会2大教区の住民が手作りのロケット花火を打ち上げる祭りだ。近年、ロケット花火の数は数千発にものぼり、復活祭の春の夜空を飛び交う光景はまさに壮観である。

    短編ドキュメンタリー

    『IVRY』(アイブリー)

    『IVRY』(アイブリー)は、青年アイブリー・ホールの人生に迫ったドキュメンタリー映画だ。彼はシカゴのサウスサイドでボクシングに励み、近所の子供たちの指導もする。映画の中で、アイブリーはボクシングジムに通う一人の少年イライジャに語りかける。ともすれば道を踏み外しそうになる荒んだ環境で、正しく生きるための知恵と人生の教訓を諭す。いくつものタトゥーを持ち、12歳の頃から何度も刑務所に入れられた。昔の仲間が生きる道を誤り、命を落とすのを何度も見て来た。これが、この地区(シカゴ近郊のイングルウッド)に暮らす若者たちの常だ。しかし、アイブリーは「そんな環境に打ち勝たなければならない。自分の内面を深く見つめること。自分で道を切り開くんだ」と饒舌に語る。

    写真集

    『Hessle Road』アレック・ギル

    写真家アレック・ギル(75歳)は、1971年にイギリスのキングストン・アポン・ハル市にあるセントアンドリュース漁港を撮り始めた。それ以来、この町のヘッスルロード地区にカメラを向け続けている。ギルは自らを称して“わが町を旅する人”そして斜陽の差す漁港の歴史を記録する“偶然の目撃者”だと言う。数十年に亘って、この地域とそこに住む人々を6,630枚にも及ぶ写真に捉えている。ギルはハル市の旧市街に生まれた。1960年代には海運業や運送業の仕事に就いたが事務仕事に向かず、よく旅へ出て写真を撮っていた。

    写真集

    ストリッパー図鑑

    原芳市は1975年以来、ストリッパーの肖像を撮り続けてきた。その数は1,500枚以上にのぼる。写真集『ストリッパー図鑑』は、原のライフワークの原点を飾る一冊である。

    写真集

    『Soho』バリー・ルイス

    1990年までのソーホーは、地域の高級化と家賃の値上がりによりエキゾチックな雰囲気が急速に失われつつあった。そこにゲイコミュニティが到来し、“ピンク・マネー”と言われる彼らの経済力によって以前の活気を取り戻し、幾分か時代の変化が緩やかになった。

    写真集

    『Facing New York』ブルース・ギルデン

    ブルース・ギルデンの路上劇場の登場人物には破天荒な面々が揃う。安っぽい派手さを身にまとい、世間離れしている。そして多くの者がミステリアスだ。ギルデンとニューヨーカーの関係は、互いに「ご近所さん」のようなもの。明白でシンプルな言葉、そして豊かな表現力で、独特の個性を放つ自称「ニューヨークのはぐれ者」たちの姿を、ギルデンはとらえてきた。彼の世界では、誰1人としてステージの片隅にいる者はいない。全員がスターなのだ。

    写真集

    アイリッシュ・トラベラー

    ミンキアは、アイルランドの伝統的な移動少数民族であり、アイルランド政府や定住民は彼らを“アイリッシュ・トラベラー”と呼ぶ。“ミンキア”とは、彼ら独自の言語であるキャント語(符牒)またはギャモン語で、「アイルランド移動民族のコミュニティー」を意味する。

    写真集

    『Street Cops』ジル・フリードマン

    混乱の時代を捉えた写真家の中でも最も重要なドキュメンタリーフォトグラファーの1人、ジル・フリードマン。彼女は人生をかけて複雑な社会状況を撮影し、誠実で芸術的な作品に昇華したストリート写真家だ。社会の片隅に暮らす人々に寄り添いながら、何か月も共に過ごして日常を記録した。

    写真集

    ダニエル・アーノルド

    ブルックリンを拠点とする写真家。街を毎日8〜12時間歩き回っては人々の写真を撮り、文句を言われる前に猛スピードで立ち去る。こうして、ニューヨーカーのプライバシーに風穴をあけるストリートフォトを撮り続けている。アーノルドは“変人のように一人で街をぶらついた”後、撮りためた沢山の写真の中からキラリと光る人間味あふれる瞬間を拾い上げる。彼の写真の躍動感は決してスタジオで再現できるものではない。ビル・カニンガムがユニークなファッションのスナップ写真を片っ端から撮り続けたように、アーノルドは日常のあちこちで絶え間なく営まれる人同士のふれあいがもたらす瞬間を、目にとまる限り残らずカメラに捉えようしている。

    写真集

    マーク・ネヴィル

    イギリス人アーティスト、マーク・ネヴィルは、アート、アクティビズム、ドキュメンタリーの交差点で活動し、写真の社会的機能を探求している。彼の写真プロジェクトは、被写体にとって直接的で実用的な利益をもたらすことを目的とし、地域社会と密接に関わりながら進行する。

    写真集

    『サブウェイ』ブルース・デビッドソン

    ブルース・デビッドソンの名作品集『サブウェイ』は、1980年代のニューヨーク・シティの様子を、極めて直感的に記録したものである。

    写真集

    『I Can Help』ポール・リース

    スーパーの店員がつけているバッジからとったタイトル「I Can Help」は、イギリス産業革命後の消費ブームをテーマにした、30枚の大型カラー写真シリーズだ。リースはスーパーマーケットのサブカルチャーを鋭く観察し、日常的なシチュエーションに純粋なストーリーを見出した。

    写真集

    ノグチ・シン

    ノグチ・シンは、1976年東京都新宿区生まれ。鎌倉と東京を拠点に活動し、数々の賞を受賞しているストリートフォトグラファーです。彼のストリート写真は、日常生活の流れの中にある興奮、ヒューマニズム、美しさの特別な瞬間を捉える試みであると説明する。控えめで、詩的で、謎めいたアプローチで、演出された写真やノーファインダー、ヒップショット写真に頼ることなく、日本文化の繊細さと複雑さを捉えることができる。

    写真集

    大衆演劇

    大衆演劇場に足を踏み入れると、ワイルドで華々しい秘密結社に潜入したようにワクワクする。奇抜な衣裳を着た役者が舞台で踊れば、ファンたちも大喜びで一斉に立ち上がり踊り出す。どういうわけか、全員が振付けを知っているようだ。盛り上がったファンは、タイミングを見計らっては舞台に駆け寄って金封やプレゼントを渡したり、通路に飛び出してペンライトを振ったりする。まるで、アイドルのコンサートに来た若者たちのようだが、劇場に来ている女性たちの多くは10代の子どもを持つ親世代だ。

    写真集

    甲斐扶佐義

    日本の写真家 甲斐扶佐義は、人生を賭した作品の多くを火事で失い、生きる気力を失くしていた時期があった。しかし、活気ある時代と彼の驚くべき経歴がにじみ出る一連の作品は今でも見ることができる。

    写真集

    『The Last Resort』マーティン・パー

    フォトグラファーのマーティン・パーがイギリスの海岸を撮影した秀逸な写真は、1983~85年にニューブライトンのリバプール・ビーチ・リゾートを訪れた時のものだ。パーの得意とする飽和色を配し、廃れた街の“一時代”を皮肉なユーモアをまじえて写し出す。ゴミだらけになったリゾート地ニューブライトンの舗装された遊歩道が、英国経済の衰退と社会状況の悪化を暗示している。

    写真集

    『Heart of Darkness - Kowloon's Walled City』グレッグ・ジラード

    1993年まで香港には魔窟と呼ばれる建造物があった。九龍の小さな区画にビルが密集してそびえ立ち、ジャングルの樹冠のように連なって大きな1つの要塞を形成していた。高さは14階にも延び、壁面は何百もの小さなアパートや店舗の蛍光灯で光り輝いていた。内部には学校や作業場、診療所、工場もあり、祈りと娯楽、享楽が詰まったこの場所に35,000人以上の住民が重なり合って暮らしていた。

    写真集

    『Bus Odyssey』トム・ウッド

    この写真集は、トム・ウッドがリバプールの街を走る路線バスから20年かけて撮影した写真で綴られている。