OUTCAST 映画祭
社会の逸れ者たちとの遭遇
“世間から、あれは日陰者だと指差されている程のひとと逢うと、自分は、必ず、優しい心になるのです。
そうして、その自分の「優しい心」は、自身でうっとりするくらい優しい心でした。”
― 太宰治『人間失格』
社会の枠から外れて生きるとはどういうことなのか? 私たちはそこから何を学ぶのか? 想像もつかないまったく異なる生き方を知ることは、きっと驚くべき体験となるでしょう。MadeGood映画祭では、そんな“社会の逸れ者”―アウトキャスト―に着目した世界各地の優れたドキュメンタリー映画を特集します。非日常の体験、困難、人間関係を描き、感情を揺さぶる映画を通して、新たな心の旅へ出てみませんか?
社会の周縁で生きる人々の人生に触れたとき、私たちは何を感じるのでしょう。本当に彼らは「変わった人たち」なのでしょうか。ぜひ、MadeGood映画祭をご覧いただき、ご自分の目で確かめてください。
映画祭やイベントの詳しい情報も近日公開。どうぞお楽しみに。
ゲスト
よしひろまさみち
東京を拠点に映画ジャーナリストとして活動。sweet、SPA!、with、Screenなど多数のメディアで映画記事を執筆のほか、ぴあ、映画.comなどのウェブサイトにも映画評を寄稿。国際批評家連盟の日本映画ペンクラブ会員、日本アカデミー賞会員。フリーのジャーナリストとして20年以上の経歴を持ち、雑誌、ウェブ、ラジオ、テレビなど多岐にわたるメディアで活躍。
佐々木俊尚
かつてはあった人生のレールが取り外されつつある今、重要なのは「健全な生活」を送ることでしかないのではないだろうか。変わりゆく社会に、文句を言っていても仕方がない。触れる情報、読んだ本、出会った人などさまざまな経験を頭の中で分析し、自分なりの思考を組み立てる。そうして、自分が進む道、生き方を選び取ることが、これからの社会を生き抜く術だと信じている。
松中ゴン
プライドハウス東京コンソーシアムの創設者で前会長。「公益社団法人Marriage For All Japan – 結婚の自由をすべての人に」の理事を務める。ここでは暮らせないと故郷を飛び出して東京の大学へ。オーストラリア留学を経て卒業、株式会社電通に就職。何十年も自身のセクシャリティを隠していたが、東京とニューヨークで働くかたわらLGBTQ+関連活動に携わるようになる。電通を退社後、NPO法人を立ち上げるなど社会運動家として活動中。
李琴峰
2017年、初めて第二言語である日本語で書いた小説『独り舞』にて第60回群像新人文学賞優秀作を受賞し、作家デビュー。
バルボラ・キシルコワ
ドキュメンタリー映画『画家と泥棒』の主要人物でチェコ出身の画家。彼女はオスロのギャラリーから盗まれた絵の行方を捜すため、盗んだ泥棒に直接接触を試みる。二人の奇妙なめぐり逢いから、事態は思いがけない展開をむかえる。
ISO
映画評・解説記事、音楽レビュー、旅行コラムなど書きます。映画、音楽、アメリカ、風呂、猫が好きなライター。劇場プログラムをはじめ、MOE、WWD JAPAN、CINRAなど多数の媒体で執筆 J-WAVE 81.3 FM PEOPLE’S ROASTERY月イチ出演
デヴィッド・フランス
『チェチェンへようこそ―ゲイの粛清―』の監督。報道記者やノンフィクション作家としても活躍するアメリカの映画製作者。ニューズウィークの元編集者で、ニューヨーク・マガジン、ニューヨーカー、ニューヨーク・タイムズ、GQなど多くのメディアに記事を寄稿している。自らもゲイであり、LGBTQ問題に迫る調査報道に定評がある。
ライアン・レイニー
『チェチェンへようこそ―ゲイの粛清―』で使用された証言者の保護のためのデジタルベール技術(Censor Veil)の開発者。この映画は2020年サンダンス映画祭でコンペティション部門に出品され世界初公開、2021年アカデミー賞長編ドキュメンタリー部門の最終候補に選ばれた。
キム・ロンジノット
『新宿ボーイズ』の監督。イギリスのドキュメンタリー映画製作者で、抑圧や差別に苦しむ女性たちに焦点を当てた作品で高い評価を得ている。問題に対峙し奮闘する女性や少女たちの実状を描いた問題作を精力的に発表し、映画作品はこれまで20本以上と多作。
ルーク・ローレンツェン
『ミッドナイト・ファミリー』の監督。スタンフォード大学芸術美術史学部を卒業。エミー賞を受賞した本作品はメキシコシティで救急車ビジネスを営む家族を追ったドキュメンタリー映画。
山﨑 昌宣
大阪西成でディレイラブリューワークスを起業。品評会でも入賞するクラフトビールの醸造所を運営し、要支援者や障害者らの就労継続支援事業を展開している。
小川てつオ
1970年生れ。多摩川の河原を遊び場に幼少を過ごし、高校卒業後は、アート方面に。2003年から、都内公園テント村で野宿者として生活。テント前で物物交換カフェ「エノアール」運営、野宿者当事者団体「ねる会議」に参加。
佐野未来
ホームレスの人が路上で販売する雑誌『ビッグイシュー日本版』創業メンバー。2002年に「質の高い雑誌を発行し、ホームレ状態にある人の独占販売とすることで、すぐにできる仕事をつくる」というビッグイシューUKの仕組みに出会い、日本一路上生活者の多かった大阪で2003年にビッグイシュー日本を3人で創業。 2024年5月、『ビッグイシュー日本版』の累計販売冊数は1000万冊突破。販売者には16億2371万円の収入を提供した。
Hiraku
幼少期から、ヒップホップの発祥地ブロンクス区で育つ。そのマルチカルチュラルな背景がファッション、ダイバーシティ、そして社会に対するユニークな視点を与える。 2010年には、テレビ番組「セックス・アンド・ザ・シティ」や映画「プラダを着た悪魔」のスタイリスト・コスチュームデザイナーであるパトリシア・フィールドの元、クリエイティブ・ディレクターを務めながらナイトライフ・パーソナリティーやモデルとしても活動。 2014年からは中村キース・ヘリング美術館でディレクターとして勤務し、全国で様々な展示やイベントを手掛ける。現在では、自身が人種マイノリティ、クィアとして米国で送った人生経験やキース·ヘリングのアートや人物を通じて、日本でのLGBTQ+コミュニティの基本的人権を要求する運動への参画やHIV·エイズに関する正しい知識や理解を深める活動など、社会活動にも積極的に参加している。
いちむらみさこ
東京の公園のブルーテント村在住。ホームレス女性たちのグループ「ノラ」を発足。ジェントリフィケーションやフェミニズムについての発表や作品展示を国内外で行っている。著書「ホームレスでいること 見えるものと見えないもののあいだ」(創元社)、「Dear キクチさん、ブルーテント村とチョコレート」(キョートット出版)、責任編集『エトセトラ VOL.7 特集:くぐりぬけて見つけた場所』(エトセトラブックス)、編集メンバー「小山さんノート」(エトセトラブックス)小山さんノートワークショップ
藤藪庸一
特定非営利活動法人 白浜レスキューネットワーク 理事長 1999年より牧師として白浜町三段壁における自殺防止活動を行い、これまで1700人を超える人々を保護し社会復帰を支援するため共同生活を行う。活動の継続と職業訓練機能のため、宅配お弁当惣菜屋「まちなかキッチン」を経営。自殺問題の根本解決のため、子どもの教育にも力を入れ、2005年から学童保育や子ども食堂を始め、2020年からは通信制高校も開校。昨年には子供や親を対象とした相談機関「くまのっ子児童家庭支援センターのこのこ」を開設するなど、あらゆる世代の人々が安心して暮らせる居場所作りに取り組んでいる。
加瀬澤 充
大学卒業後、園舎と園庭のない幼稚園のドキュメンタリー映画「あおぞら」を制作。2002年に制作会社ドキュメンタリージャパンに参加。「オンリーワン」(NHK BS-1)「森人」(BS日本テレビ)「疾走!神楽男子」(NHK BSプレミアム)など数々のドキュメンタリー番組を演出する。
藤えりか
朝日新聞社で記者を経て朝デジ事業センター戦略部次長。ロサンゼルス支局などでハリウッドをはじめ映画界を長く取材。著書に『海を渡った「ナパーム弾の少女」 』(岩波ブックレット)、『「ナパーム弾の少女」五〇年の物語』(講談社)、『なぜメリル・ストリープはトランプに嚙みつき、オリバー・ストーンは期待するのか』(幻冬舎新書)。
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