画家と泥棒

ベンジャミン・リー、ノルウェー、2020年
英語、ノルウェー語
106分
日本語
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ベンジャミン・リー、ノルウェー、2020年

2枚の絵画が何者かに盗まれた。画家は犯⼈を突き⽌めるも、犯人は「覚えていない」の⼀点張り。「あなたを描かせてー」画家の突然の提案から、思いも寄らない2⼈の関係が始まる。

英語、ノルウェー語
106分
日本語

『画家と泥棒』監督ベンジャミン・リーが語る

絵画泥棒にはいつも興味が掻き立てられる。犯罪と芸術という正反対の性質が混在すると感じるからだろう。大きな文化資本が動き社会的な価値の高騰がみられる芸術産業と、“下層階級”の犯罪者の荒んだ人生が交わるとき。その明暗のコントラストに興味と疑問が湧き上がる。絵画泥棒はどんな人間なのだろうか。なぜその絵画を選び盗んだのか。お金のためなのか、それとも芸術への純粋な愛ゆえか。

『画家と泥棒』の撮影プロジェクトはそんな疑問から始まった。私は、まずインターネットで絵画の盗難事件を検索した。今思えばおかしな話だが、その時は調べた情報で何を撮るつもりなのかすら考えていなかった。たくさんの事件記事を読み、すごく面白かった。けれど、何人かの泥棒と会ってみても特に撮影するほどの発見は無かった。ある時、2015年にオスロのギャラリー・ノーベルで起こった絵画の盗難事件を知った。あまり有名ではない画家のふたつの絵画が盗まれ、二人の窃盗犯が捕まって75日の実刑となった事件だ。裁判にはそのうち一人の泥棒が出廷していた。なぜ、彼らは絵画を盗むことにしたのだろう。決定的に強く興味を惹かれたのは、絵を盗まれた画家が泥棒の一人に「あなたをモデルに絵を描かせて欲しい」と言ったと知ったからだった。私は画家と連絡を取った。まだその時は、これから自分が撮ることになる物語が驚きの展開を見せるなんて思いも寄らなかった。


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撮影を始めたのは、バルボラとカール・ベルティルが会うようになってから4回目くらいの頃だ。画家と泥棒の間にどんな関係が生まれるのか、この撮影がどのように展開していくのか全く分からない状況だった。私のプロジェクトはいつもこんな調子で、何の前情報も入れず興味の赴くままに撮るのだが――結果、この映画は単に絵画泥棒の話にとどまらず、非凡で深い人間関係を織りなす友情の物語となった。

3年以上をかけて実に満足のいく撮影ができたと思っている。私は以前、チェスの世界王者マグヌス・カールセンを追った映画を撮ったが、彼は感情をほとんど表に出さない人間だったので秘めた心の動きを視覚的に捉えることに苦労した。

だが、『画家と泥棒』に関しては、そんな心配はなかった。彼らはとても情熱的で、率直で、繊細で、様々な表情を包み隠さず見せてくれた。


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私の頭には2つの疑問が浮かんでいた。その答えを見つけるため、撮影を始めた瞬間から画家と泥棒の複雑な友情を探求したいと考えた。私たち人間は他者の視線や評価をどのように受けとめるのか、また、人はなぜ他者と関わろうとするのだろうか。私にとって映画製作とは、人間の行動を観察しながら、知的な刺激と豊かな感情の表出を求めて問いかける行為だと思っている。この『画家と泥棒』で、エンドクレジットを見終わったあとにも観客の心にずっと残るような、興味深い論点を提示できていたら嬉しく思う。

また、この映画では新たな試みとしてシネマ・ヴェリテの手法を取り入れている。時間軸を飛び越えていくつかの視点から物事を見つめ、映画全体を通して彼らの友情を多角的に描いた。登場人物の心の動きをそれぞれの場面に余すことなく反映するため、映画手法の選択にはずいぶん悩んだ。

主要人物のカール・ベルティルが、この映画の意図を素晴らしい言葉で表してくれた。「この映画が、社会のはみ出し者に対する偏見に立ち向かい、烙印から解き放つ一助となることを願っています。たとえ問題を抱えていたとしても、人間は賢明な行動を選択できるし、他者への思いやりを持って生きていけるはずです。」

ベンジャミン・リー/監督・撮影監督

1989年生まれ。2012年アムステルダムドキュメンタリー国際映画祭で初公開された『Dreaming of the Golden Eagle(イヌワシを夢見て)』など、15作品の短編ドキュメンタリー映画を製作。初の長編ドキュメンタリー映画でチェスの世界王者に迫った『Magnus(マグヌス)』は、2016年にトライベッカ映画祭で公開され、その後、世界64カ国から買い付けを受けた。


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    ラビット・ハント

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    ある日、ムンバイで暮らす家族の小さなアパートに、父さんが一羽のヒヨコを買って来た。

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    入浴 ―水との深い関係―

    『入浴 ―水との深い関係― (We the Bathers)』は、世界各地の14人の姿を捉えた美しく心に響く短編ドキュメンタリー。それぞれの人生が“水”をめぐる物語でつながっている。 フィービー・アーンシュタイン監督はこの映画で、入浴という個人的な慣習、そのプライベートな時間に結び付いた心の深淵を探求している。人種差別、うつ病、ホームレス、移民、売春などの社会問題に触れながら、人々が水との関わりによって内省と再生、癒しを得る様子を見つめる。 文化や地域を越えて、人間が水に自身を委ねる行為―入浴―に抱く感情に迫った作品。"

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    ロサンゼルスを拠点とする映画監督兼フォトグラファーのライザ・マンデロップは、ソーシャルメディアが発達した現代の新しい“推し活”にはまる少女たちに着目した。マンデロップが捉えたのは、人とのつながりをますますテクノロジーに依存していく現代社会の実状だ。不安定な思春期を生きる少女たちは、日々、SNSでフォローしているアイドルに慰めと心のつながりを見出している。

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    ナイジェリアの伝統格闘技ダンベ、その内側に迫ったドキュメンタリー。ライバル同士の2人の格闘家が闘技場“ダンダリ”での対決に臨む姿を、臨場感あふれるカメラワークとカラング太鼓の音にのせてミュージシャンのユスフ・ムサが奏でる「語りの歌」で綴る。アフリカン・コミュニティの祝祭と闘争、信仰と神秘、美しさと勇猛さに惹きつけられる。

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    I ♥ NY

    写真集

    ノグチ・シン

    ノグチ・シンは、1976年東京都新宿区生まれ。鎌倉と東京を拠点に活動し、数々の賞を受賞しているストリートフォトグラファーです。彼のストリート写真は、日常生活の流れの中にある興奮、ヒューマニズム、美しさの特別な瞬間を捉える試みであると説明する。控えめで、詩的で、謎めいたアプローチで、演出された写真やノーファインダー、ヒップショット写真に頼ることなく、日本文化の繊細さと複雑さを捉えることができる。

    写真集

    『I Can Help』ポール・リース

    スーパーの店員がつけているバッジからとったタイトル「I Can Help」は、イギリス産業革命後の消費ブームをテーマにした、30枚の大型カラー写真シリーズだ。リースはスーパーマーケットのサブカルチャーを鋭く観察し、日常的なシチュエーションに純粋なストーリーを見出した。

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    大衆演劇

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    ダニエル・アーノルド

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    写真集

    『Street Cops』ジル・フリードマン

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    アイリッシュ・トラベラー

    ミンキアは、アイルランドの伝統的な移動少数民族であり、アイルランド政府や定住民は彼らを“アイリッシュ・トラベラー”と呼ぶ。“ミンキア”とは、彼ら独自の言語であるキャント語(符牒)またはギャモン語で、「アイルランド移動民族のコミュニティー」を意味する。

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    ブルース・ギルデンの路上劇場の登場人物には破天荒な面々が揃う。安っぽい派手さを身にまとい、世間離れしている。そして多くの者がミステリアスだ。ギルデンとニューヨーカーの関係は、互いに「ご近所さん」のようなもの。明白でシンプルな言葉、そして豊かな表現力で、独特の個性を放つ自称「ニューヨークのはぐれ者」たちの姿を、ギルデンはとらえてきた。彼の世界では、誰1人としてステージの片隅にいる者はいない。全員がスターなのだ。

    写真集

    『Bus Odyssey』トム・ウッド

    この写真集は、トム・ウッドがリバプールの街を走る路線バスから20年かけて撮影した写真で綴られている。

    写真集

    甲斐扶佐義

    日本の写真家 甲斐扶佐義は、人生を賭した作品の多くを火事で失い、生きる気力を失くしていた時期があった。しかし、活気ある時代と彼の驚くべき経歴がにじみ出る一連の作品は今でも見ることができる。

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    『Heart of Darkness - Kowloon's Walled City』グレッグ・ジラード

    1993年まで香港には魔窟と呼ばれる建造物があった。九龍の小さな区画にビルが密集してそびえ立ち、ジャングルの樹冠のように連なって大きな1つの要塞を形成していた。高さは14階にも延び、壁面は何百もの小さなアパートや店舗の蛍光灯で光り輝いていた。内部には学校や作業場、診療所、工場もあり、祈りと娯楽、享楽が詰まったこの場所に35,000人以上の住民が重なり合って暮らしていた。

    写真集

    『The Last Resort』マーティン・パー

    フォトグラファーのマーティン・パーがイギリスの海岸を撮影した秀逸な写真は、1983~85年にニューブライトンのリバプール・ビーチ・リゾートを訪れた時のものだ。パーの得意とする飽和色を配し、廃れた街の“一時代”を皮肉なユーモアをまじえて写し出す。ゴミだらけになったリゾート地ニューブライトンの舗装された遊歩道が、英国経済の衰退と社会状況の悪化を暗示している。